中世の聖と俗
【中世ヨーロッパ万華鏡2】

分類 シリーズ 
タイトル 中世の聖と俗
【中世ヨーロッパ万華鏡2】 
サブタイトル ─信仰と日常の交錯する空間─ 
著者 ハンス=ヴェルナー・ゲッツ著/津山拓也訳 
ページ数 280(カラー19)頁 
判型 A5・上製 
定価 3,080円(本体2,800円) 
内容 日常生活の根幹をなす結婚・家族制度と、人びとの想像力のなかに確固たるリアリティをもって存在した「死後の世界」や「悪魔」のイメージとに焦点をあて、キリスト教と世俗文化が互いに影響を与えあう、「中世的な」聖俗の絡み合いの特徴をつぶさに明らかにする。 
目次 【中世ヨーロッパ万華鏡 II 】中世の聖と俗
第一章 中世の結婚と家族――「人が独りでいるのはよくない」
1 結婚――宗教的な制度にして世俗的生活様式
2 家族――社会生活の基本様式
3 夫と妻――家族生活
4 結婚生活の日常――贖罪規定書・教会会議の決定・聖人伝より
第二章 「主の学校」と「共住生活」――聖俗両界の狭間にある中世の修道院
1 聖ベネディクトゥスのメッセージとその成果
2 修道院の世俗化――修道院の禁域と外部との接触
3 修道院と政治――院内の争い、院外との争い
4 修道士の「仕事」としての教育――文化を担う修道院
第三章 死に向けた人生?――中世の死生観
1 中世社会を映す鏡としての宗教的表象世界
2 「生のさなかに死に囲まれて」――中世社会における死
3 適時の準備
4 往生術
5 「共存する死者たち」
6 死後はどうなる?――中世の来世観
第四章 悪魔は至る所に――中世における悪魔の認識と役割
1 救済史の中の悪魔
2 悪魔の姿と出現
3 人生は悪魔との戦い――悪魔の仕業に対するイメージ
4 悪魔の「役割」と悪魔物語の「役割分担」
5 「歴史」および歴史記述における悪魔
6 中世における悪魔の「リアリティ」 
PDFパンフレット  
備考 全3巻完結!
【中世ヨーロッパ万華鏡1】中世人と権力
【中世ヨーロッパ万華鏡3】名もなき中世人の日常

【中世ヨーロッパ万華鏡 II 】中世の聖と俗
[著者略歴]
ハンス=ヴェルナー・ゲッツ Hans-Werner Goetz
1947年生まれ。ドイツの中世史家。ボッフム大学教授を経て、現在、ハンブルク大学教授。
著書に:Das Geschichtsbild Ottos von Freising(1984), Leben im Mittelalter (1986, 『中世の日常生活』轡田収他訳, 中央公論社), Frauen im fruehen Mittelalter(1995), Moderne Mediaevistik. Stand und Perspektiven der Mittelalter-forschung(1999), Europa im fruehen Mittelalter 500-1050(2003)などがある。
[訳者略歴]
津山拓也(つやま たくや)
1962年、佐賀県に生まれる。1990年、東京外国語大学大学院修士課程(独文学専攻)修了。現在、國學院大學、二松学舎大学非常勤講師。
訳書に、マール『精霊と芸術』、ザッペリ『知られざるゲーテ』、ヴェルナー『ピラミッド大全』、デッカー『古代エジプトの遊びとスポーツ』、共訳にデュル『秘めごとの文化史』、『性と暴力の文化史』、『挑発する肉体』(以上、法政大学出版局刊)がある。

●朝日新聞書評より(掲載2004年06月13日)
ドイツやオーストリアで、多くの歴史家たちが集う共同耕作地は、「日常史」と呼ばれている。そのエッセンスを一般読者に分け与えてくれるのが、『中世ヨーロッパ万華鏡』(全三巻)である。 最初の配本となる本書は、中世の初期から盛期(六~十二世紀)のヨーロッパ社会を、聖と俗がたがいに相手の懐に入り込んだ時代と捉(とら)え、結婚と家族、修道院、死、悪魔について論じている。たしかに珍しくもないテーマだし、史料にしても専門家にはよく知られたものが大半である。ところが、法典や聖人伝・年代記の全体をよく読み込んだ上で引用箇所(かしょ)を選択しているのが効いており、また堅実で密度の濃い研究成果を反映しているだけに、「そうだったのか」と思わせるツボ、見慣れたはずの風景を転換させる異化効果が随所に仕組まれている。「結婚と家族」についてその例を挙げれば、初期中世の結婚が愛情共同体であったこと、「大家族を作る」イメージが神話にすぎないこと、子供の命名法とその変遷が、家族の仕組みの理解にとってとっておきの指標になること、こんなことをさりげなく教えてくれるのである。 全三巻そろえば、ますます頼もしい中世世界再考の手引になるにちがいない。
評者・池上俊一(東京大学教授=西洋史)


原題 'Weltliches Leben in frommer Gesinnung?: Lebensformen und Vorstellungswelten im fruhen und hohen Mittelalter' by Hans‐Werner Goetz in: "Menschen im Schatten der Kathedrale : Neuigkeiten aus dem Mittelalter" Gerd Althoff, Hans-Werner Goetz, Ernst Schubert
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ISBN978-4-89694-738-0 

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