分類 |
植物 |
タイトル |
プリニウス博物誌《植物篇》 |
サブタイトル |
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著者 |
大槻真一郎[責任編集] |
ページ数 |
632頁 |
判型 |
菊判・上製 |
定価 |
8,580円(本体7,800円) |
内容 |
地中海世界を中心にペルシア、アラビア、インドをも含む地域に生育する植物約600種を収録。性状や栽培法はもとより、食用、薬用、酒、香料、木材などへの利用法を、神話・伝説・歴史にもふれながら詳述する壮大な植物誌。
プリニウス博物誌[全2巻]
博物学史上不変の世界的名著より、植物に関する部分をラテン語原典より翻訳。植物誌、言語、文化、歴史、民俗各方面におよぶ豊富な訳注を付す。
〈植物篇〉では約600種、〈植物薬剤篇〉では約1200種もの植物を記載する。 |
目次 |
I 樹木
大地の賜物としての樹木/聖なる木とその用途/プラタナスの伝播/プラタナスとブドウ酒/有名なプラタナス/矮性のプラタナス/アッシリアのマルス/ヘベヌス/ヘベヌスの種類/ヘベヌスに似たイバラ/インドのイチジク/バナナ/インドのその他の木/コショウ/コショウに似たインドの木/マキル/甘蔗糖/インドの果てにある木/ブデリウム/ペルシアの珍しい木(マソグローブ)/テュロス島内の木/衣服の素材になる木/テュロス島のその他の木/アラビアの木/モッコウ/ナルド/アサルム/アモムムとアモミス/カルダモムム/乳香/乳香の木/乳香の取り引き/ミルラ/ミルラの木/ミルラの採取と種類/マスティック樹脂/ラダヌム/アラビアのその他の木/ブラトゥス/ストブルスとステュラクス/幸福なアラビア/シナモン/カシア/カンカムムとタルム/セリカトゥムとガバリウム/ミュロバラヌム/アディプソス/ショウブと芳香性ユンクス/アンモニアゴム/スファグノス/シコウカ/アスパラトス/マロン/バルサム/ステュラクス/ガルバヌム/パナケス/スポンデュリオン/マロバトルム/オンファキウム/プリュオン/その他の香油の材料/コマクム
II 樹木 二
香料の起源/香油の流行と製法/香油の保存法/香油の贅沢な使い方/香油のローマヘの浸透/ヤシの生育地/ヤシ/その他のヤシの繁殖法/ヤシの種類/その他のシリアの木/ケドルス/テレビンノキ/ルス/エジプトイチジク/キプロスイチジク/ケラウニア/ペルセア/クキ/黒いイバラ/ゴム/パピルス紙の発明/パピルスの生育地/紙の製法/紙の大きさ/紙の仕上げ方/製紙用の糊/ヌマ王の書/エチオピアの繊維の取れる木/キトルス材のテーブル/キトルス材の特性/キトルスと同名異種の木/ロトス/パリウルス/ザクロ/アシアとギリシアの灌木/トラギオンとトラガカンタ/アシアの木とギリシアの不幸の木/エウオニュモス/レオの木/アンドラクレ/コッキュギアとアファルケ/オオウイキョウ/タプシア/カッパリス/サリファ/バビロンの寄生植物/キュティスス/海中の木/その他の海中の木/東方の海中の木/インドその他の海中の木
III 果樹 一
ブドウの木を紹介するに当たって。何よりもさきに、勤勉な農耕時代から無為・怠慢・強欲・利殖の時代への推移について/まずは野生ブドウの木について/ブドウの木の性質/ブドウの木の種類/有利なブドウ菜園の開墾/古い名声をもついくつかのブドウ酒、その他の事例/ブドウ酒の功罪/本国(イタリア)産ブドウ酒の序列/海外産のブドウ酒の序列/その他、いくつかのギリシアのブドウ酒のつくり方/干しブドウ酒、その他/ブドウの皮からつくられる二番手のブドウ酒三種類/世界に冠たるイタリアブドウ酒/ブドウ酒の節減について/没薬香料酒/貴重なギリシア酒/かつての祝賀饗宴に振舞われたブドウ酒の話/加工酒の効用/各種の加工酒/ハチ蜜酒/酢っぱいハチ蜜/不思議な力をもつブドウ酒/宗教儀式に禁忌とされるブドウ/ブドウ酒の味の調整法/ブドウ酒の風味剤の種類/ブドウ酒のカビと酢、および酒かすについて/ブドウ酒貯蔵の仕方/飽くなき飲酒癖の数々/あらゆる人々の酩酊への飽くなき欲求。および油について
IV 果樹 二
オリーブの進出/オリーブの種類と搾油技術/オリーブ油の産地、性質、採取法/オリーブの種類/オリーブの特異な用途/栽培、貯蔵、圧搾についてのカトーの教訓/各種の油/アムルカの用途/マツの実/マルメロ/モモとザクロ/スモモ/モモの導入と名前の由来/マルスの種類について/その他のマルスの種類について/ナシ/接ぎ木、ナシの保存と用途/果物の貯蔵法について/イチジクの種類と栽培法/イチジクについての逸話/イチジクの生長/セイヨウカリン/ナナカマド/クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタキア/クリ/イナゴマメ/クロミグワの実/ウネド/漿果の種類/サクランボ/ミズキとレンティスクス、果物の食べ方/味の種類/果汁の色と匂い/果物の性質/ギンバイカの果汁/ギンバイカ/ギンバイカの種類と用途/ギンバイカの花冠の故事/ゲッケイジュの種類と特徴/ゲッケイジュ
V 森林(野生)樹
樹木と木のない地方/ゲルマニアの森林/ローマの冠/冠の由来/樹木で作った冠/食物としてのドングリ/ブナのドングリ/本来のドングリ/没食子/ロブル/ロブルのその他の産物/エンジ/その他のキノコ類とコルクガシ/樹皮の用法/屋根板および森/樹脂の取れる木/カイガンマツ/ピケアとモミ/カラマツ/イチイ/木タール/ピツチの製法/ゾピサおよび樹脂の採取法/トネリコ/シナノキ/カエデ/カエデのこぶ、その他/ツゲ/ニレ/山地の木と平地の木/水を嫌う木と好む木/野生種と栽培種/常緑樹/落葉樹/葉の形の変化/葉の向きの変化/ヤシの葉の利用/それぞれの木の葉の特徴/植物の受精/花のこと、および花の咲かない木/発芽/開花/結実/結実の特殊なもの/実のならない木/実や花の落ちやすい木/土地によって実のならない木/特殊な結実の仕方をする木/イチジクの特殊性/何度も結実する木/樹齢と結実の仕方/複数の産物ができる木/樹形/枝について/樹皮/根の相違/倒木の蘇生/樹木の生え方/樹木と土地の適性/イトスギ/雨のはたらき/キヅタ/スミラクス/アシの用途/アシで作る武器/アシの種類/ブドウの支柱用のアシ/ヤナギの用途/縄にする植物/スキルプス/キイチゴとニワトコ/木を構成する組織/木材の性質/樹木の伐採の時期と方法/木材に関するカトーの説/材木になる木/材木以外の用途にあてられる木/腐らない木/木材の耐久性/木をおそう害虫/木材の強度/モミ材/木材の加工について/木の材質とそれに適した製品/樹齢の長い木/ウォルカヌス神殿のロトス/ウァティカヌス丘のセイコウヒイラギカシ/ギリシアとアシアの古木/神話に関わる古木/樹齢の短い木/コルネ丘の聖なる木立/木に寄生する植物/ヤドリギの種類/ウィスクムの漿果から作る鳥もち/ガリアにおけるヤドリギの崇拝
VI 栽培樹
高価な樹木。樹木に由来する人名/方角と天候の影響/土壌について/肥料としてのマルガの使用/その他の肥料/肥やしと緑肥/土を豊かにする作物/施肥の時期/木の取り木。多くの方法/種子から生える木/ゲッケイジュや堅果の栽培/木の苗床/挿し木や吸枝からの栽培/苗床の管理。種子からの栽培/ニレ、ポプラ、トネリコの栽培と植えつけ/移植。その注意。方向の選択/木々の間隔(一)/陰の考慮/木々の間隔(二)/木々の生長の早さ/取り木/接ぎ木の始まり/芽接ぎ/接ぎ木。その細かた規則/ブドウの接ぎ木/盾状接ぎ木。同一の木のあいだで行なわれる接ぎ木/枝の挿し木による増殖/切り取った枝による挿し木/オリーブを挿し木する場合の手入れ/オリーブ園の管理。オリーブを植える季節。その他の木々を植える季節。取り木による接ぎ木/木のまわりの土堀り/添え木用に栽培される木々。ヤナギ、白ポプラなど/アシ/クリ、その他の木々/ブドウの栽培について/刈り込みの季節等について/木々の病気/木々が見せる不吉な生態/木の病気に対する治療法。木の嫌がるもの/灌漑/灌漑の効用/乱切法、およびその他の治療法/樹木に対するさまざまな治療法/イチジクにつく虫/過度の刈り込み/肥やしを与える際の注意/肥料などによる治療。さまざまな物質による治療
VII 穀物とマメ類
大地の恩恵と人間によるその悪用/最初の冠と祭日/農業に由来する姓や言葉/穀物の価格と初期の農業/農業に関する著述/農地購入の際の心得/農業経営の心得/農業に関する格言/作物の種類/作物の種類と形態/穀粒の重さ/コムギの種類と性質/オオムギ/オオムギ粉の作り方/オオムギの重湯/コムギの粥/澱粉/オオムギの性質/コムギの種類/コムギ粉/コムギの生産性/ゴマ、その他/製粉法/キビ/アワ/パン種/パンについて/ローマのパン屋/ひき割り/マメ類/レンズマメとエンドウ/ヒヨコマメ/マメの莢/カブ/ナプスとカブの播種/ハウチワマメ/ウィキア/エルウム/シリキア/ライムギ/飼葉/オキヌム/メディカ/作物に対する病害/病害虫の予防策/作物に応じた土地の種類/エジプトの耕作/犂の種類/耕す時期と方法/さまざまな作物の耕作法/よく灌漑された土地/輪作の方法/施肥の方法/種子の優劣と播種方法/播種の量/播種の時期/天文学上の一般的原理/星の昇没/季節の区分/播種の時期に対する自然の兆候/ソラマメ、レンズマメ、ケシの播種について/ブドウ園の管理、その他/冬の農作業/星座が告げる冬の期日と農作業/冬の終わりから春にかけての農作業/星座が告げる春の期日と農作業/初夏の農作業/夏至以降の農作業/天空の事象によって起こる災害/災害の予防策/晩夏の農作業/収穫と脱穀/穀物の貯蔵/秋の農作業/月齢と農作業/方位の決め方と風に対する注意/方位と測定と各種の風/太陽による天候の予知/月による天候の予知/星による天候の予知/雷による天候の予知/雲による天候の予知/霧による天候の予知/火による天候の予知/海による天候の予知/その他さまざまなものによる天候の予知/海の生物と鳥による天候の予知/その他の動物による天候の予知/トリフォリウムによる天候の予知/食器による天候の予知
VIII 繊維作物と野菜
アマの栽培と航海術の発達/エジブト、ガリア、イタリアのアマ/アマ布の製法/燃えないアマ布、その他/アマ布の染色/アマ布の日除け/スパルトゥム/スパルトゥムの利用法/スパルトゥム綱の由来/羊毛を生む球根植物/根のない植物/トゥベルに似た植物/トゥベルの生態/ペジカ/ラセルピキウム/マギュダリス/アカネ/ラディクラ/菜園/菜園の整備/作物の利用部分/作物の種類/ククミス/ヒョウタン/カブ、ナプス/ラファヌス/パスティナカ/シセル/オオグルマ/ブルブス、カイソウ(海葱)/その他の根、葉、花/タマネギ/ポルムと「刈り取るポルム」/ニソニク/菜園植物の発芽時期/各種の種子/品種/レタス/イントゥブスとレタス/ビート/キャベツ/アスパラガス/カルドゥウス/その他の菜園植物/ヘンルーダ/アピウム/ハッカ、クミン/オルサトルム、カッパリス/ヒメウイキョウ/リクズティクム、クニラ/レピディウム/ギト、アニス、ディル、サコペニウム/ケシ/カラシ、その他/セルピュルム、シシュンブリウム/ウイキョウ、タプシア、アサ/菜園植物の病気/アリの駆除/水の種類/潅水方法、移植効果/液汁と風味/風味について |
PDFパンフレット |
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備考 |
澁澤龍彦 『私のプリニウス』より
プリニウスが扱っている領域は天文地理から動植物や鉱物、さらには技術や芸術をふくめた人間の文化にまでおよんでおり、まさに『博物誌』は当時の百科全書と呼ばれるにふさわしい関心の広さを示している。なかでも植物や動物の薬品としての効能や利用法に多くの巻が宛てられているのは、魔術と未分化の状態にあった当時の科学のなかで占めていた薬物学の重要性を示すものだろう。
[本書の特色]
◎本書は"C. Plinii Secundi : Naturalis Historiae" ラテン語原文からの直接訳である。
◎訳文は古典語文献的な翻訳の重要性にたえうるように正確な表現をこころがけた。
◎しかも平易で親しみやすい文章をこころがけ、また本文は読みやすい9ポ2段組とした。
◎植物誌、言語、文化、歴史、民俗各方面におよぶ豊富な訳注を付し、それぞれ見開きページの左端にまとめて、参照しやすいように配慮した。
◎植物の同定については、基本的に原文記載事項を重視したうえで慎重に選び、不確かなものは属名またはラテン語の読みをそのまま仮名で表記した。学名の表示はもっとも信頼できる『オックスフォード・ラテン語辞典』(P. G. W. Glare ed., Oxford Latin Dictionary, 1982)を参考にして行った。
◎本書利用の便をはかるため、古代ローマの度量衡換算表、および本書と一般性の高いロウブ英語版とのラテン語異読対照表を巻末に付した。
『プリニウス博物誌』《植物薬剤編》もご覧下さい。
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ISBN978-4-89694-931-5 |
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