分類 |
美術・工芸 |
タイトル |
ジュエリーの歴史 |
サブタイトル |
―ヨーロッパの宝飾770年― |
著者 |
ジョアン・エヴァンズ著/古賀敬子訳 |
ページ数 |
344頁 |
判型 |
菊判・上製 |
定価 |
3,520円(本体3,200円) |
内容 |
中世・ルネサンスからジョージアン・ヴィクトリアンまで
ミュージアムや個人コレクションの宝飾品とデザイン画、ジュエリーを纏った各時代の肖像画など、華麗な図版300点と共に、膨大な資料をもとに綴るヨーロピアン・ジュエリーの本格的通史
■服飾史、美術工芸史の上でも重要な宝飾品を美術史の中に位置づけた嚆矢として定評ある古典的名著
■ジュエリー用語の訳注も充実 |
目次 |
第一章 中世初期
古代からの遺産/キリスト教文化との出会い/オットー朝のジュエリー/フランスとイングランドのジュエリー/十字軍の影響/ベルトとリング・ブローチ/カメオとインタリオ/祈祷用ジュエリー
第二章 ゴシックの時代
需要の拡大と法の規制/贅沢の基準/リング・ブローチ/文字形、クラスター形、メインモチーフ付きブローチ/紋章・記章としてのブローチ/頸章
第三章 中世後期
宝石カット法の発達/ゴシック建築の影響/王冠と髪飾り/ネックレスとペンダント/ブレスレットとベルト/聖遺物入れペンダント/ロザリオ/十字架ペンダント/アンセーニュ
第四章 初期ルネサンス
古典古代との関わり/芸術家と金細工師との密接な繋がり/チェリーニの寄与/メダイヨンのジュエリー/外国人職人のロンドンでの活躍/国による装い方の違い/図案集出版の影響/人物像カメオ付き金のジュエリー/例外的なエナメル・ジュエリー/エナメルの肖像付きアンセーニュ/イニシャルとモノグラムのジュエリー/ハート形ジュエリー/金の大型チェーン/宝石をちりばめたカラー/フランス王室宝飾品/宮廷の繁栄
第五章 盛期ルネサンス
ルネサンス芸術の浸透/王室の財政とジュエリー/豊富と潤沢/パリュール/男性から女性へ/バロック真珠のペンダント/建築的デザインのペンダント/三種の主題/「ダーンリー・ジュエル」─謎めくエンブレム/船形ペンダントと香りのジュエリー/肖像カメオ/ルネサンスの終末を飾る様々なジュエリー/富と権力を求めた宮廷の奢侈品
第六章 十七世紀
ミニアチュール・ケースと時計/宝石そのものの美へ/植物モチーフ/シンプルで量感のあるジュエリー/モーニング・ジュエリー/色彩と輝きを求めて
第七章 十八世紀
昼と夜のジュエリー/エナメル装飾の衰退/ペースト・ジュエリー/ブリリアント・カット─光の追求/ロカイユの影響/ダイヤモンドの時代/サンクト・ペテルブルクの財宝/自然主義的デザイン/マリー・アントワネットの首飾り事件/昼間用のジュエリー、シャトレーヌ、バックルなど
第八章 一七八九年から一八七〇年
メモリアル・ジュエリーの復活/宮廷宝石職人の復帰/ナポレオンの時代/王政復古の時代/写実的な植物モチーフ/ロマンティシズムとルネサンス様式の復活/デザインの複雑化/伝統的様式の衰退 |
PDFパンフレット |
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備考 |
著者紹介
ジョーン・エヴァンズ(Joan Evans)
1893年生-1977年没。イギリスの美術史家、歴史家。
王立考古学研究所所長、ロンドン博物館理事、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館理事、大英博物館理事などを歴任。『イギリスのジュエリー-5世紀から1800年まで』『中世とルネサンスのマジカル・ジュエル』をはじめ多数の著作があるが、なかでも「修道院の芸術と建築」「中世フランスの生活」「ジュエリーの歴史」に関するものは、現在でも権威ある書として評価されている。
訳者紹介
古賀敬子(こが けいこ)
横浜生まれ。
フェリス女学院中学校・高等学校卒業。慶應義塾大学文学部卒業(西洋美術史専攻)。株式会社和光勤務を経て、北欧織物、洋裁、インテリア・コーディネート、写真撮影・暗室技術を修得。
現在、美術・宝飾関係を中心に翻訳の仕事に携わる。
訳書:N. ペニー『額縁と名画』(八坂書房)ほか。
●読売新聞書評より(掲載2004年06月13日)
「キラリと光る本」というのは、書評のきめ台詞(ぜりふ)の一つだが、この本は本当にキラキラ光る。金銀宝石、真珠にエナメル。ヨーロッパの歴史を彩った数々の宝飾品が、豊富な写真で紹介されているからだ。見ているだけで楽しいが、文章も面白い。例えばお国ぶり。イタリア人は派手好きで、巨大なペンダントにさらに大きな真珠をつけたりする。一方、ドイツ系は豪奢(ごうしゃ)のなかでも、石と金属のバランスを重視した。男性のジュエリーも興味ぶかい。英国王ヘンリー八世の衣装には宝石が山盛り。それが16世紀の末には、ボタンだけぐらいになる。「ぼく贈る人、私つける人」という、不公平な慣習もこの頃できたらしい。著者によると、最近のジュエリーは芸術性を失いつつあるそうだ。某ブランドの銀製品なんてたしかにうんざりするが、いい品はやはり高嶺(たかね)の花。昔の名品を眺めて、目の保養でもしよう。
評者・佐藤俊樹 (東京大学助教授)
●朝日新聞書評より(掲載2004年06月27日)
肖像画など膨大な資料を縦横無尽に使い分け、宗教や技術の発達などの背景と絡ませての解説は、陶酔感さえ催させる。王冠やネックレスなど300点以上の豪華絢爛(ごうかけんらん)な写真が見事で、眺めているだけでため息がでる。 それでいて、ジュエリーにまつわるエピソードは、妻が夫にねだって買わせたり、愛人にこっそり贈ったり、借金の担保にしたりと人間くさくて、宝石がいかに私たちと深いつき合いをしてきたかがわかる。 著者は、今後はジュエリーの機械生産が進み、手作りの魅力が失われるのでは――と悲観的だが、訳者は人間の創造性と美意識に明るい展望を語る。
評者・多賀幹子(フリージャーナリスト)
原題 "A History of JEWELLERY 1100‐1870" Joan Evans
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ISBN978-4-89694-171-5 |
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掲載図版1
掲載図版2
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