分類 |
自然 |
タイトル |
熱帯雨林の生態学 |
サブタイトル |
─生物多様性の世界を探る─ |
著者 |
井上民二著 |
ページ数 |
368頁 |
判型 |
A5・上製 |
定価 |
4,180円(本体3,800円) |
内容 |
ジャングルに散った熱帯生態学者が残した待望の書。熱帯雨林に暮らす多様な生物の相利共生関係の解明に挑む中、1997年9月6日、フィールドへむかう飛行機の墜落事故で急逝。享年49歳。日本を代表する独創的生態学者の夢と情熱の軌跡をたどる。 |
目次 |
まえがきにかえて ─井上民二の仕事─
第1部 林冠生物学
熱帯林の環境変動と一斉開花
はじめての一斉開花の直接観察/なぜ一斉開花がおこるのか/多様な熱帯林を保全するために
サラワク林冠生物学計画の展開
熱帯林研究における林冠の重要性/林冠観測システムの建設/研究体制の確立/ベースラインの整備/生物動態のモニタリング/生物多様性の創出、維持機構の解明
一斉開花とエルニーニョに関係が?
一年周期の季節がない/有力な種子捕食回避説/四〇ヶ月連続「咲かない」
サラワクの森から
未知の生態系/フタバガキの開花/ヤドリギの送粉/夜の昆虫たち/パイオニア植物/従属栄養型植物/夜の林冠/グネツム/サトイモと甲虫/共生ネットワーク/ロングハウス/自然保護区
植物の繁殖フェノロジーと送粉共生 ─熱帯雨林における研究から─
熱帯における季節/季節熱帯での植物フェノロジー/非季節熱帯における植物フェノロジー/一斉開花の年次変動//サラワク林冠生物学計画の成果/一斉開花現象をどのように説明するか
第2部 生物多様性
生き物たちの織りなすナチュラル・ヒストリー
一億年の歴史の宝庫/植物と昆虫の相互作用/競争から共生へ/多様な文化をみつめながら
樹脂がひろげる生物の関係性
ハリナシバチ繁栄の秘密/樹脂の話/樹脂がひろげる生物の関係性
共生と自然保護
生態系と共生関係/送粉共生系/散実共生系/防衛共生系/栄養獲得型共生系/共生から自然保護へ
熱帯における環境変動と生物のダイナミックス
熱帯における環境変動のパターン/植物のフェノロジー/送粉者とのパートナーシップ/昆虫の個体群変動/社会性ハチのコロニーの消長/長期変動と生態学的危機/非定常環境変動と生物の繁殖戦略
熱帯における生物の多様性
生物の多様性とはなにか/熱帯林の多様性の生態学説明/多様性保全のための生態学的視点
生態学における地域研究
生態学にとっての空間と時間/歴史的過程としての生物の共進化/生態系における時間のフラクタル/ミツバチ―生物における社会進化の例として
スミソニアンの自然史学 ─パナマの熱帯研究所での一年の経験から
スミソニアン熱帯研究所のセミナー/熱帯研究所の研究活動/ルービックの日常生活/私の研究生活/スミソニアン協会のこと/スミソニアン熱帯研究所の歴史/
日本における自然史学の現状と、そして、展望
熱帯林のフィールドワーカーたち
植物の分類学者/昆虫の分類学者/植物の生態学者/昆虫の生態学者/昆虫の行動学者
第3部 ハナバチの生態学
ハリナシバチの巣分かれ
社会性昆虫の進化/ふたたびスマトラへ/ミツバチの巣分かれ/進化の舞台としての東アジア
花を訪れるハチたちの暮らし ―ハリナシバチとミツバチ―
花を訪れるハチ/永続社会性のハナバチ
ミツバチの採餌戦略
採餌場所の絞りこみ/採餌における分業/植物の開花様式とハナバチの利用様式/何でも屋としてのミツバチ
ミナンカバウのハチミツ採り
高原のハチミツ採り/弟子入りの儀式/たいまつの秘密/お祈り/高い木に登る技術/私の実習/ハチミツ採りの生活/オオミツバチの生態
ユカタン紀行 ―マヤの養蜂をもとめて―
ウシュマルのピラミッド/マヤ部落に入る/ユカタンのハナバチと自然/マヤの養蜂/ハリナシバチの家畜化―試論/ホルヘのアピアリー(養蜂場)
第4部 送粉共生系
花と昆虫の生態学
花暦・虫暦/ミツバチの仲間たち
花をめぐるマルハナバチの種間関係
マルハナバチの形質の種内・種間変異/マルハナバチの形質による花の区分/花の形態とマッチング
共進化の理論モデル
競争による形質置換モデル/競争による形質置換の実例/競争による形質収斂は存在するのか?/送粉共生モデル 一送粉者―一植物系/送粉共生系にランナウェイは実在するか?/送粉共生モデル 一送粉者―二植物系/ランナウェイへの歯止め/もう一つのランナウェイ
日本の熱帯林研究をふりかえる
浅い縁/発端/IBP―滞在型研究へ/林冠への接近/IBP以後/生態学の新しい流れ/もっと議論がしたかった |
PDFパンフレット |
(404KB) |
備考 |
著者
井上民二 (いのうえ・たみじ)
1947年、兵庫県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程中退。農学博士。
生態学を専門とし、熱帯雨林を舞台にいとなまれる多様な生物の相利共生関係の解明にいどむ。
元京都大学生態学研究センター教授。
1997年9月6日、熱帯雨林の研究フィールドへむかう小型飛行機の墜落事故のため急逝。享年49歳。
主著訳書に『生命の宝庫・熱帯雨林』(NHK出版)、『岩波講座 地球環境学 第5巻─生物多様性とその保全』(共編著、岩波書店)、『花に引き寄せられる動物─花と送粉者の共進化』(共編著、平凡社)、『昆虫社会の進化』(共編著、博品社)、『スマトラの自然と人々』(共編著、八坂書房)、『マルハナバチの経済学』(監訳、文一総合出版)などがある。
ISBN978-4-89694-481-5 |
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